犬が冬に水を飲まない原因について解説！水分補給の工夫と注意すべきポイント

愛犬が冬になると急に水を飲まなくなり、心配になる飼い主さまは多いかもしれません。

脱水にならないか、何かの病気じゃないかと不安になりますよね。

実は冬に犬が水を飲まないのは珍しいことではなく、気温の低下による“喉の渇きにくさ”や“飲み水の温度”が原因であることが多いため、いくつかの工夫でしっかり水分補給させることができます。

冬の水分不足は見落としがちですが、理由を知り、実践しやすい対策を取れば愛犬の健康を守れます。

まずは原因から確認していきましょう。

犬が冬に水を飲まない原因とは？

冬になると犬が水を飲まなくなるのには、いくつかの理由があります。

運動量の低下や気温の変化だけでなく、ごはんからの水分摂取やストレス・加齢といった要因も影響します。

水飲み場の環境を見直し、健康面の異変がないか注意して観察することが大切です。

一つずつ見ていきましょう。

運動量が減り、喉が渇かない

冬は気温が低くなることで外へ出る時間が短くなり、運動量も自然と減ります。

体を動かす機会が減れば体内で熱を生み出す必要も少なくなり、喉の渇きが感じにくくなります。

そのため夏のように頻繁に水を飲もうとしないことは珍しくありません。

特に散歩を短縮しがちな犬ほど飲水量が減りやすく、結果として水を飲まないように見える場合があります。

気温が低く、冷たい水を避ける

冬になると飲み水が冷たくなり、犬がその温度を嫌がることがあります。

冷たい水は体を冷やすため、本能的に避ける犬も少なくありません。

いつもと同じ器でも、気温が下がることで飲みに行く意欲が減ることがあり、水の温度が原因で飲まないケースは多く見られます。

水が汚れている、鮮度が落ちている

長時間放置された水は温度だけでなく匂いも変質し、犬にとって美味しく感じられません。

冬は蒸発が遅いため水が減りにくく、飼い主が交換の頻度を減らしてしまう傾向がありますが、鮮度が落ちた水は犬が避ける大きな理由になります。

透明に見えても犬にとっては「古い」と判断されることがあるため注意が必要です。

ごはんで水分が足りている

ウェットフードや手作り食を与えていると、食事だけでかなりの水分を摂れてしまうことがあります。

この場合、水皿に口をつける頻度が減り、「水を飲まない」と感じることも。

特に冬は食事の温度変化が少なく食べやすいため、食事由来の水分だけで満足してしまう犬もいます。

ただし、水分のトータル量が十分かどうかは排尿の色や量を見て判断しましょう。

ストレス

環境の変化や生活リズムの乱れがストレスとなり、水を飲まなくなる犬もいます。

冬は普段と違う刺激が増える季節です。

ストレスが高まると食欲や飲水の減少として現れることがあり、特に神経質な犬では小さな変化が飲水行動に影響します。

加齢

高齢になると喉の渇きを感じにくくなったり、嗅覚や味覚が低下したりすることで飲水量が減る傾向があります。

また飲みに行くために立ち上がること自体が億劫になり、水皿まで足を運ばないケースも珍しくありません。

高齢犬では冬の寒さが関節の痛みを悪化させることもあり、結果的に水を飲む機会が減ってしまいます。

病気によるもの

飲水量の減少は病気のサインであることもあるので注意が必要です。

これらは体調変化とともに飲水行動へ影響を与えます。

普段よく飲む犬が突然飲まなくなった場合や、水を飲まない時間が長く続く場合は病気を疑う必要があります。

冬だからという理由だけにせず、全身状態をよく観察することが大切です。

また、水を飲む姿勢や口を動かす行為が痛みにつながると、犬は水を避けるようになります。

これらの口腔トラブルや関節の痛みは飲む行動を遠ざけてしまいます。

ヘルニアは頭を下げる姿勢が辛く、器の高さによっては飲むことが困難です。

冬は痛みが悪化しやすいため、普段より飲まない場合には痛みの可能性も考慮しましょう。

水飲み場の場所

水飲み場が寒い窓際や玄関周辺に設置されていると、犬が近寄りたがらず、水を飲みに行く回数が自然と減ります。

暖かい場所に行きたいという冬特有の行動が、飲水量の低下につながることがあります。

水飲み場を暖かい生活導線上に置くだけで飲む量が増えることも多いため、設置場所の見直しは非常に効果的です。

水を飲まないとどうなる？水分不足による症状

冬に犬が水を飲まない状態が続くと、体のさまざまな部分に負担がかかり、健康トラブルを引き起こす可能性があります。

軽い脱水でも尿や腎臓、口腔などへの影響が現れやすく、放置すると症状が悪化することもあります。

特に冬は水分不足に気づきにくいため、早めの理解と対策が重要です。

ここでは、水を飲まないことで起きやすい代表的な症状について順に解説します。

尿路結石

水分が不足すると尿が濃くなり、体内のミネラルが結晶化しやすくなります。

これが続くと結石が形成され、排尿時の痛みや血尿、排尿困難といったトラブルにつながります。

特に冬は飲水量が減りやすいため、尿路結石のリスクが高まる季節です。

初期段階では症状がわかりにくいため、排尿の様子を日頃から観察することが大切です。

膀胱炎

脱水によって尿量が減ると膀胱内に細菌がとどまりやすくなり、膀胱炎を引き起こすことがあります。

頻繁にトイレに行く、少量ずつしか尿が出ない、排尿時に痛がるといった行動が見られた場合は膀胱炎の可能性があります。

冬場の水分不足はこのような感染症の発症リスクを高めるため、早めの対策が欠かせません。

歯周病

水分不足は口の中の唾液量にも影響を与えます。

唾液が不足すると口内の自浄作用が低下し、細菌が繁殖しやすくなります。

その結果、歯垢が増え、歯周病が進行しやすくなります。

冬は乾燥が強く、犬も口の乾きが起こりやすいため、飲水量は歯と歯茎の健康維持にも重要です。

腎臓病

慢性的な水分不足は腎臓に負担をかけ、老廃物の排泄機能が低下しやすくなります。

特に高齢犬や腎臓が弱い犬は、脱水の影響を受けやすいため注意が必要です。

冬の軽度の脱水が積み重なるだけでも腎機能の悪化につながる可能性がありますので、飲水量が少ない状態をそのまま放置しないことが大切です。

便秘

水分が不足すると腸内で便を柔らかくするための水分も足りなくなり、便が硬くなります。

その結果、排便が困難になり、便秘につながります。便秘は腹痛や食欲不振を引き起こすことがあり、放置すると腸トラブルに発展することもあるので気を付けましょう。

特に冬は運動量も減るため、便秘になりやすい環境がそろいやすい季節です。

冬に水を飲まない犬に飲んでもらう工夫

冬に犬が水を飲まないときは、ちょっとした環境の見直しや工夫で飲水量を増やせることがあります。

食事内容や器の形状、置く場所を変えるだけでも行動が改善されることは珍しくありません。

水そのものに興味を示さない場合でも、風味付けや水分の多いおやつを取り入れることで自然に水分補給を促せます。

冬でも犬が無理なく水を飲めるようにする実践的な工夫を紹介します。

食事で水分補給を強化する

冬に飲水量が減る場合、食事から自然に水分を補う方法が効果的です。

ドライフードにぬるま湯を加えてふやかしたり、ウェットフードを混ぜることで、水分摂取量を増やせます。

また鶏ささみのゆで汁や無添加のスープを食事にかけると嗜好性が上がり、食事と一緒に水分をしっかり摂るようになります。

温かい食事は香りも立つため、冬場でも犬が喜んで食べてくれることが多い方法です。

水飲み器の高さ、器を変える

水を飲む姿勢が合っていないと、犬は飲みに行く意欲を失ってしまうことがあります。

特に冬は関節がこわばりやすく、顔を高く上げて飲むタイプの給水器が負担になることがあります。

浅めのボウルに変えるだけで飲みやすくなる犬も多く、姿勢が改善されると自然と飲水量が増えます。

新鮮な水をキープできる自動給水器も便利ですが、音や水流を気にする犬もいるため、愛犬の性格に合わせて選ぶことが大切です。

水飲み場を変える、増やす

寒い場所に水皿が置いてあると、犬はそこへ行くこと自体を避けるようになります。

冬は特に暖かい部屋で過ごす時間が長いため、生活動線上の快適な場所に水飲み場を移動させると効果的です。

リビングや寝床の近くなど、犬がよく立ち寄る場所に複数設置することで飲むタイミングが増え、無理なく水分補給ができます。環境を整えるだけで改善するケースも多い工夫です。

水に風味をつける

水そのものに興味を示さない犬には風味付けが有効です。

フードをふやかした後の汁や、ささみのゆで汁を少量加えると、香りが立って飲みやすくなります。

また犬用ミルクや味付きパウダーを加える方法もありますが、いずれも添加しすぎるとカロリー過多や塩分過多になるため控えめにすることが重要です。

チュールを少量溶かす方法は特に嗜好性が高く、好き嫌いが激しい犬にも使いやすい工夫です。

水分補給できるおやつを与える

水を直接飲むのが苦手でも、おやつなら食べてくれる犬は多くいます。

水分量の多いゼリータイプのおやつや、犬用の水分補給スナックを取り入れると、楽しみながら水分を補えます。

フルーツの中でも水分の多いリンゴやスイカなど（犬が安全に食べられるものに限る）を少量与える方法も。

冬でも適度に冷たさを調整し、体を冷やさないよう工夫しながら与えると良いでしょう。

犬の適切な水分量とは？

犬が冬に水を飲まないとき、まず知っておきたいのが「どれくらいの水分が必要なのか」という基準です。

必要量を理解していると、飲水量が足りているのか、改善すべきなのかを判断しやすくなります。

さらに、水の種類や与えて良いもの・ダメなものを知ることで、安心して水分補給の工夫ができるようになります。

ここでは、犬の適切な水分量と、水に関する基本的なポイントをみていきましょう。

1日に必要な水分量

犬が1日に必要とする水分量の目安は、体重1kgあたりおよそ50mlといわれています。

たとえば5kgの犬なら250ml、10kgの犬なら500mlほどが目安です。ただしこれはあくまで一般的な基準であり、活動量や気温、食事の種類によって必要量は変わります。

ウェットフードを多く食べている場合は飲む水が少なくても問題ありませんが、ドライフード中心の場合はしっかり飲水できているか観察する必要があります。

冬でも体は常に水を必要としているため、目安量を意識しつつ健康状態に合わせて調整することが大切です。

水の種類

犬に与える水の基本は、特別なものではなく「新鮮な水」です。

水道水でも問題はありませんが、カルキ臭が気になる場合は軽く煮沸して冷ましたり、浄水器を通した水を与えると飲みやすくなります。

ミネラルウォーターでも飲めますが、硬度の高い硬水は結石のリスクにつながる可能性があるため避けたほうが安心です。

冬は水が冷たくなり過ぎやすいため、常温程度にしてあげるだけでも飲水量が増えることがあります。

飲んでも大丈夫なもの

基本は水ですが、少量であれば犬用ミルクや薄めたささみのゆで汁なども飲水の補助として使えます。

これらは匂いや味があるため、普段水を飲みにくい犬でも興味を示しやすいのが特徴があります。

ただし、塩分や脂肪が多いものは健康に影響を与えるため、必ず犬向けのものを選ぶか、無添加のものを極少量だけ利用することが重要です。

飲んではダメなもの

犬に与えてはいけない飲み物にはいくつか明確なものがあります。

牛乳は意外に思われますが、乳糖不耐症の犬が多いため下痢を引き起こすことがあります。

また、カフェイン入り飲料やアルコールはもちろん、甘味料のキシリトールを含む飲料は中毒の危険があります。

玉ねぎやにんにく成分が溶け出したスープや、人間用の味付けの濃い汁物なども厳禁です。

冬に温かいものを飲ませたい場合でも、必ず犬が安全に摂取できるものに限定し、与える前に成分を確認する習慣をつけてください。

犬が水を飲まないのは何時間まで？

犬が水を飲まない状態がどれくらい続くと危険なのかは、多くの飼い主が不安に感じるポイントです。

特に冬は喉の渇きを感じにくく、見た目では体調の変化がわかりにくいため、許容できる時間を知っておきましょう。

また、犬の年齢や健康状態によって安全な時間は大きく変わるため、一律に判断するのは危険です。

水を飲まないときの目安時間と、どんな状態なら受診が必要かを分かりやすく説明します。

水を飲まないのは何時間まで大丈夫か

犬がまったく水を飲まない状態が続いてよいのは 健康な成犬でおよそ24時間が限界 とされています。

ただし「24時間は大丈夫」という意味ではなく、脱水が始まる前に原因を確認し、数時間単位で様子を見る必要があるレベル という認識が正確です。

特に冬は喉の渇きを感じにくい季節で、水を飲まなくても見た目では変化が分かりにくいため注意が必要です。

子犬・シニア犬・持病がある犬ではもっと短く、6〜12時間飲まないだけでも脱水や体調悪化のリスクが高まるため、早めの対応が求められます。

動物病院を受診する目安

以下のような場合は、時間を待たずに早急に動物病院へ相談するのが安全です。

脱水は進行すると命に関わる場合もあります。特に冬は体調変化に気づきにくいため、「様子を見るより、少し早めに相談する」 という判断が安心です。

注意が必要なケース

犬が冬に水を飲まない理由はさまざまですが、特に注意が必要なケースでは早めの対処が体調悪化を防ぐ鍵になります。

高齢犬や持病のある犬、手術後の犬は水分不足の影響を受けやすく、短時間でも脱水が進むことがあります。

また、見た目では判断しにくい場合も多いため、状況ごとのリスクを理解しておくことが重要です。

高齢犬

高齢犬は体の水分量が若い頃より少なく、喉の渇きを感じる力も弱くなるため、冬になるとさらに水を飲まなくなる傾向があります。

また、関節痛や筋力低下で水飲み場まで移動するのが負担になり、水を避けるようになることもあります。

シニア期では軽度の脱水でも体調を崩しやすいため、普段から飲水量を把握し、温度や器の高さなどの環境調整を行うことが重要です。

利尿剤を飲んでいる

心臓病や腎臓病の治療で利尿剤を服用している犬は、尿量が増えるため、通常より多くの水分が必要になります。

冬で喉が渇きにくくても体は水を失っているため、水を飲まない状態が続くと急速に脱水が進みやすく危険です。

利尿剤を飲んでいる犬が水を飲まないときは、早めの受診や飲水補助が必須になります。

抜歯や麻酔などの術後

手術後や歯科処置後は、痛みや麻酔の影響で水を飲む意欲が低下することがあります。

特に口腔内の痛みがあると、水を飲みたい気持ちはあっても上手く飲めず、「器の前に行くが飲まない」などの行動が見られます。

術後は脱水が体力回復を妨げるため、ぬるま湯にする、風味をつけるなどの工夫が有効です。

飲みづらそうな様子が続く場合は、患部の痛みが強い可能性もあるため再診が必要です。

まとめ｜犬が冬に水を飲まない理由を知ってその子に合わせたケアを

冬は犬が喉の渇きを感じにくく、水を飲まない行動が増えやすい季節です。

運動量の低下や水の冷たさ、ごはんによる水分摂取、ストレスや加齢、さらには病気など、原因はさまざまです。

水分不足は尿路結石や膀胱炎、腎臓病などにつながる恐れがあるため、早めの対策が欠かせません。

食事内容を工夫したり、器の種類や高さを変えて飲みやすくしたり、水に風味をつけて興味を引くなど、方法を少し変えるだけで改善できるケースも多くあります。

水飲み場の位置や温度といった環境を整えることも効果的で、犬の年齢や体調に合わせたケアが大切です。

もし長時間にわたり水を飲まない、ぐったりしている、嘔吐や下痢が続いているなどの異変が見られる場合は、早めに動物病院に相談してください。

冬の飲水トラブルを正しく理解し、その子にとって最適な方法を見つけることで、寒い季節も安心して過ごせるはずです。

最後までお読みいただきありがとうございました。